人形町「玉ひで」で元祖親子丼を味わう ― 創業1760年、建て替えを経た老舗の一杯

老舗・グルメ

1. この店を訪ねた理由

2026年9月12日、東京駅から日本橋、人形町へと一日かけて歩いた日の昼に、人形町の「玉ひで」に立ち寄った。親子丼発祥の店として知られる、江戸の中頃から続く軍鶏(しゃも)料理の老舗だ。

散歩の記録では、親子丼の味を中心に短く触れただけだった。この記事では、店に着いてから食べ終えるまでの流れと、この店の歩み、そして親子丼に使われている「東京しゃも」について、あらためてまとめておきたい。

(散歩全体の記録は、こちらの記事にまとめている)
日本橋・人形町を歩く ― 辰野金吾の建築から親子丼、夜の一杯まで

2. 店の基本情報

項目内容
店名鳥料理 玉ひで
住所東京都中央区日本橋人形町1-17-10
最寄駅人形町駅A2出口から徒歩約1分(東京メトロ日比谷線。都営浅草線からは徒歩約2分)
創業宝暦10年(1760年)
営業時間昼 11:30〜13:30(13:30までに並んだ人まで案内)、夜 17:00〜21:30(料理のラストオーダー20:30)。日曜は原則昼のみ(翌月曜が祝日の場合は夜も営業)※1
注文・会計入口で注文し、先に会計を済ませる方式。カード払いができた
筆者の注文元祖親子丼 ¥2,800、キリン一番搾り 小瓶 ¥700(2026年9月12日訪問時の価格)
昼の御膳(店頭掲示)親子丼御膳 ¥4,800、しゃもづくし親子丼御膳 ¥5,700、白レバ親子丼御膳 ¥7,500(2026年9月12日に店頭のメニューで確認)

※営業時間・休業日・価格は変わることがあるため、訪問前に公式サイトで最新の情報を確認してほしい。

3. 店に着くまで

人形町駅を出てすぐのところに、建て替えを終えた玉ひでの新しい店がある。建物は真新しいのに、どこか落ち着いた、この店の歴史を感じさせる造りだった。

人形町の玉ひで
人形町の玉ひで(2026年9月12日撮影)

行列で知られる店なので、ある程度待つのは覚悟していた。ところがこの日は小雨がぱらついていたせいか、待ったのは5分ほど。正直に言えば、ラッキーだと思った。

玄関の左側の壁にはガラスケースがあり、お昼の御膳や飲み物のメニューとともに、毎日新聞の記事が掲示されている。ちょうど並んでいる人の目に留まる位置で、待ち時間のうちに店の歩みやメニューを知ってもらおうという工夫なのだと思う。食事を終えて店を出るときに、あらためて写真に収めた。

玄関の左側のガラスケース。お昼の御膳と飲み物のメニューが掲示されている
玄関の左側のガラスケース。お昼の御膳と飲み物のメニューが掲示されている(2026年9月12日撮影)

4. 玉ひでの歩み

玉ひでの創業は宝暦10年(1760年)。初代が妻とともに開いた軍鶏料理の専門店が始まりで※2、現在の店主は8代目の山田耕之亮さんだ※3。

親子丼については、店に次のような由来が伝わっている。明治の中頃、軍鶏鍋の締めに、残った肉と割下を卵でとじてご飯と一緒に食べる客がいた。それを見た5代目の妻・とくが、明治24年(1891年)に、ご飯にのせた一品料理として考え出したのが始まりだという※4。

店は建て替えのため2022年6月から休業し、約3年4か月を経た2025年10月19日に営業を再開した。11月1日からは、昼と夜の通常営業に戻っている※5。新しい店では、靴を脱いで上がる座敷から、靴のまま座れるテーブル席に変わったそうだ※6。

5. 注文から着席まで

玉ひででは、入口で先に注文と会計を済ませる。カードで払えたので、やり取りは短い時間で終わった。会計を済ませると、「元祖」と書かれた木札を渡された。

「元祖」と書かれた木札
「元祖」と書かれた木札(2026年9月12日撮影)

店内は満席だった。それでも多くの店員さんがテキパキと動いていて、それでいて、せかせかした感じがない。待ち時間が短く、スムーズに席に着けたのも、この手際のよさのおかげだろう。

店内も真新しいのに、なぜか落ち着く。260年以上続く店の歴史を感じさせる造りだと思った。注文を先に済ませているので、席に着いてからそれほど待たずに料理が運ばれてきた。

入口の奥。梁や古地図のパネルが目に留まる
入口の奥。梁や古地図のパネルが目に留まる(2026年9月12日撮影)

6. 元祖親子丼を味わう

席に着くと、まず店名の入った椀のスープと漬物が運ばれてきた。

先に運ばれてきた、店名の入った椀のスープと漬物
先に運ばれてきた、店名の入った椀のスープと漬物(2026年9月12日撮影)
蓋をした状態の元祖親子丼。赤くて丸い器
蓋をした状態の元祖親子丼。赤くて丸い器(2026年9月12日撮影)

続いて運ばれてきた元祖親子丼の器は、赤くて丸い。卵を思わせる形で※6、見た目がかわいい。女性客にも喜ばれそうな器だと思う。キリン一番搾りの小瓶(¥700)も合わせた。

元祖親子丼(¥2,800)。スープと漬物が付く
元祖親子丼(¥2,800)。スープと漬物が付く(2026年9月12日撮影)

野菜を一切使わない潔い仕立てで、東京しゃもの力強い旨味と、艶やかな半熟玉子が米と溶け合う。まるで濃密な旨味のスープをそのまま飲み込むように、するりと喉を通り抜けていく一杯だった。つくねの入ったスープもシンプルながら深みがあり、この親子丼にぴったりと寄り添う味わいだった。

この親子丼に使われている「東京しゃも」は、東京都が開発したブランド鶏で、農林水産省の資料では玉ひでとの共同開発だったと紹介されている※7。純系の軍鶏とロードアイランドレッドを交配した最初の段階(軍鶏の血統50%)では味が淡白だったため、さらに軍鶏を掛け合わせ、現在は軍鶏の血統が75%になっている※8。一般的なブロイラーが約8週で出荷されるのに対し、東京しゃもは約120〜150日をかけて育てられる※9。身が引き締まって歯ごたえがあり、脂肪が少なく、味が濃いのが特徴だという※8。食べながら感じた力強い旨味は、この育て方から来ているのだと納得がいった。

※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。

7. 食べ終えて

元祖親子丼は¥2,800。親子丼としては、値段はそれなりにする。ただ、食べ終えてみると、値段相応の味だったと思う。

真新しいのに落ち着く店の雰囲気、手際がよく、それでいてせかせかしない接客、そして東京しゃもの味わい。どれもが合わさって、満足のいく一食になった。

8. 取材・更新情報

  • 取材日: 2026年9月12日(土)、昼
  • 天候: 小雨
  • 待ち時間: 約5分(筆者の訪問時)
  • 価格: 訪問時の店頭の価格(元祖親子丼 ¥2,800、キリン一番搾り 小瓶 ¥700)
  • 営業情報の確認日: 2026年10月2日
  • 広告・招待の有無: なし(自費)

参考リンク

※1 営業時間について(2026年10月2日確認、店舗関係者が公開している情報)
食べログ「鳥料理 玉ひで」

※2 玉ひでの創業について
まち日本橋「人」 玉ひで 8代目インタビュー

※3 8代目・山田耕之亮さんについて
NHK「みんなのきょうの料理」山田耕之亮さん

※4 親子丼の由来(店に伝わる話)について
GO TOKYO Gourmet(東京都公式観光グルメ情報)玉ひでの記事

※5 休業と営業再開について
中央区観光協会特派員ブログ「お待たせ、人形町『玉ひで』本店の新店舗オープン!」
ジョルダン「美味ごはん」人形町『玉ひで』10/19リニューアルオープン

※6 新しい店内と器について
Yahoo!ニュース エキスパート「親子丼発祥の店『玉ひで』がリニューアルオープン」

※7 東京しゃもの開発について
農林水産省「特集2 鶏肉」

※8 東京しゃもの交配と肉質について
東京都「地域資源」東京しゃも
農林水産省 地理的表示(GI)「東京しゃも」

※9 東京しゃもの飼育期間について
東京都農林水産振興財団「東京しゃも」

玉ひで 公式サイト
鳥料理 玉ひで

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