1. この展覧会に立ち寄った理由
東京駅から日本橋、人形町へと一日かけて歩いた日の午後、日本橋室町の三井本館に入る三井記念美術館に立ち寄った。この日、2026年9月12日は、ちょうど「館蔵の茶碗100撰 ―国宝から手造茶碗まで―」の初日にあたっていた。
散歩の途中で、三越の起源である越後屋や三井銀行など、三井家が日本橋に残してきた足跡をいくつも見てきた。その三井家に伝わってきた茶碗を、三井本館の中で見る。散歩の流れの中で、ここに寄らない理由はなかった。
(散歩全体の記録は、こちらの記事にまとめている)
日本橋・人形町を歩く ― 辰野金吾の建築から親子丼、夜の一杯まで
2. 展覧会の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 展覧会名 | 館蔵の茶碗100撰 ―国宝から手造茶碗まで― |
| 会場 | 三井記念美術館(東京都中央区日本橋室町2-1-1 三井本館7階) |
| 会期 | 2026年9月12日(土)〜11月23日(月・祝) |
| 開館時間 | 10:00〜17:00(入館は16:30まで) |
| 休館日 | 月曜日(9月21日、10月12日、11月2日・23日は開館)、10月13日(火) |
| 入館料 | 一般1,200円、大学・高校生700円、中学生以下無料 |
| 筆者の鑑賞時間 | 約1時間40分(14時過ぎ〜15時50分頃) |
※会期・料金などは2026年9月時点の公式情報によるもの。訪問前に公式サイトで最新情報を確認してほしい。
3. 展示室を歩く

一般券(¥1,200)を買って中に入る。初日の午後だったが、館内は比較的空いていて、一つひとつの茶碗の前で足を止めても、人の流れを気にせずに済んだ。
展示室はいくつかに分かれていて、この日、撮影が許可されていたのは展示室4の一室のみだった。それ以外の部屋では、ただ茶碗と向き合う時間になる。14時過ぎから15時50分頃まで、1時間40分ほどをかけて、ゆっくりと見て回った。
4. この展覧会を知る
三井記念美術館には、三井家から寄贈された美術品が収められている。その寄贈品の半分以上を茶道具が占め、茶碗だけでも200件を優に超えるという。この展覧会は、その中から国宝・重要文化財を含む100件を選んだもので、館蔵品だけで構成する茶碗展は、1995年の「三井家の名碗三十撰」以来、およそ30年ぶりになる※1。
展示は6つの章で構成されている。中国の「唐物茶碗」、朝鮮半島の「高麗茶碗」、日本で焼かれた「和物茶碗」に始まり、樂家の「樂の茶碗」、三井家と縁の深い永樂家の「永樂の茶碗(保全・和全)」、そして茶人たちが自ら手がけた「手造茶碗」へと続く※1。江戸時代から昭和まで、300年以上にわたって三井家に集められ、伝えられてきた茶碗を、その家の歴史ごと一望できる構成だ。
目玉の一つが、国宝の志野茶碗「卯花墻(うのはながき)」だ。日本で焼かれた茶碗で国宝に指定されているのは2碗しかなく、そのうちの1碗にあたる(もう1碗は、本阿弥光悦作の白樂茶碗「不二山」)。本展では展示室2に並んでいる※1。
5. 撮影できた一室
撮影が許されていた展示室4には、青磁筒茶碗、粉引茶碗「残雪(ざんせつ)」、青井戸茶碗「瀧川」などが並んでいた。この記事に載せた茶碗の写真は、すべてこの展示室4で撮影したものだ。いずれも北三井家に伝わった品で、青磁筒茶碗は中国・明時代、残雪と瀧川は朝鮮時代の16世紀の作だという※1。



同じ展示室には、色合いの華やかな茶碗も並んでいた。野々村仁清の「色絵鱗文茶碗」は、「仁清黒」と呼ばれる濃い黒の地に、鱗の文様が鮮やかに映える。特に、この仁清の黒は深く美しく、強く印象に残った。「彫三島茶碗(外花)」は、外側にも花の印刻が押されていることから「外花」と呼ばれ、珍重されてきた茶碗だという。江戸時代の萩焼の茶碗「鹿の音」は、淡い桃色を帯びた、やわらかな肌合いをしている。



他の展示室には国宝級の茶碗も並んでいたが、そちらは撮影が叶わなかったのが少し心残りだ。なお、三井記念美術館では展示室内の撮影は原則禁止で、展覧会によって一部の作品や展示室だけが撮影可となる※2。訪れる際は、会場の案内に従ってほしい。
6. 撮影できなかった展示室のこと
撮影できた展示室4の茶碗も、どれも素晴らしく、貴重なものばかりだった。それでも正直に言えば、撮影が許されていなかった他の展示室の品々は、さらに貴重なものばかりだった。そのほとんどが、芸術品として思わず目を奪われるものだった。
これだけの茶碗を集め、300年以上にわたって伝えてこられたのは、三井家の財力があったからこそだろう。展示室を巡りながら、そう思わずにはいられなかった。写真では伝えられない分、ぜひ会期中に自分の目で確かめてほしい。
7. まとめ
落ち着いた気品にあふれる展示室で、極上の時間を過ごすことができた。
茶道具や焼き物が好きな人はもちろん、日本橋を歩くついでに、三井家の歴史をもう一歩深く知りたい人にも勧めたい。
見て回るには1時間半ほどみておくと、慌てずに済む。この日のように、日本橋の近代建築や老舗めぐりと一緒に組むと、三井家と日本橋の関わりが一本の線でつながって見えてくる。
8. 取材・更新情報
- 訪問日: 2026年9月12日(土)、展覧会初日
- 入館料: 一般券¥1,200(自費)
- 撮影について: 本文中の展示品の写真は、訪問日に撮影が許可されていた展示室4で撮影したものです。撮影不可の展示室の作品は掲載していません。
- 展覧会情報の確認日: 2026年10月4日時点(三井記念美術館公式情報・出品目録による)
- 広告・招待の有無: なし
- 更新: 2026年10月4日 展示室4の茶碗の写真3点(彫三島茶碗、色絵鱗文茶碗、萩茶碗)と解説を追加しました
参考リンク
※1 館蔵の茶碗100撰について
三井記念美術館 公式「館蔵の茶碗100撰 ―国宝から手造茶碗まで―」
三井記念美術館 公式「出品目録」(PDF)
三井記念美術館 公式「コレクション」
※2 館内での撮影について
三井記念美術館 公式「ご来館のお客様へのお願い」


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